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HDR保存のススメ

2016年11月04日(Fri)

なんというか、一つのことを説明しようとすると、その手前のこともちゃんと書いておかないといけないような気がして。書いてたら長くなっちゃうから少しずつ区切ろうとしたら、いつの間にか書くのを忘れてたりして。

そんな感じの小ネタ。

Fireflyのレンダリング設定にあったトーンマッピングやガンマコレクションは、Supeflyのレンダリング設定には存在しない。Superflyは物理ベースのレンダラだから、ガンマ補正しないという選択肢自体が存在しない、という解釈でもいいんじゃないかなと思う。

とはいえ、その機能を多用していた人にとっては、無くなってしまうと困惑してしまうものだ。トーンマッピングなんかはその一つだろう。通常のモニタが表示できる赤緑青各色256階調16,777,216色の範囲を超える、明るすぎる部分をほどよく表示可能な範囲内におさめてくれる機能である。

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じゃあSuperflyは256階調を超える明るさを表現できないのか、すべてのピクセルが黒から白の範囲内に収まるようにライティングしなければならないのか、というと、そんなことはない。

画像を保存するときにHDRI、すなわちRadiance形式(.hdr)またはOpenEXR形式(.exr)を選択すればいいんである。

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FireflyでもSuperflyでも、内部の計算自体はリニアなデータで行なわれている。というかレンダラは本来リニアな光のエネルギーを計算するものである。レンダリングウィンドウに表示されたレンダリング結果は、そのリニアな計算結果に(必要ならガンマ補正をかけて)モニタが表示できる各色256階調だけを表示しているにすぎない。当然JpegやPNGなど従来の画像形式で保存できるのも、切り取られた256階調だけだ。

HDR(High Dynamic Range)は、従来の各色256階調、8bitに収まらない広範囲のデータを扱う形式だ。HDR形式で保存された画像をHDRI(High Dynamic Range Image)と呼んだりする。Radiance形式は一番広く普及している形式、OpenEXR形式はさらに高精度かつ多くのデータを保存できる形式だ。どちらもPoserから出力する分にはそんなに違いはないので、自分の使っている画像処理ソフトが対応している形式を選べばいい。

PhotoshopでRadianceまたはOpenEXRファイルを開くと、自動的に32bitモードになる。

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で、イメージメニューの色調補正>HDRトーン...やフィルタメニューのCamera RAWフィルター...を使って、「RAWデータを現像するように」思い通りの露出に変換する。

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要するに、Superflyでは「トーンマッピングは画像処理ソフトでやってね」ということだ。

たとえば、こんな感じのレンダリング結果があったとしよう。

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窓から光が入り込んで、室内を照らしているようなシーンだ。正直パストレーシングがものすごく苦手とするシーンである。なにせ開口部が狭いから、レイがなかなか光源にたどり着かない。途中で死ぬから値が収束しない。収束しないということはノイズが減らないということである。なので開き直ってピクセルサンプルを上げ、さらに拡散反射の反射回数を増やし、光源の強度をがっつり上げる。ある程度光が回らないといくら計算回数を増やしてもなかなか収束しないので、まずは室内に光が回るようにする。

すると当然、明るい部分は思いっきり色飛びしてしまう……という感じのレンダリング結果。

しかし色飛びしているように見えても、HDRIならちゃんと中身は保存されている。Photoshopで開いて、32bitモードを16bit(または8bit)モードに変えてみよう。

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HDRトーン機能が起動して、HDRIをいかに256階調の範囲内に収めるか(=トーンマッピング)、その方法を尋ねてくる。

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HDRトーンはもともと、画像をゴテゴテといわゆる「HDR風」に補正する機能ではなくて、HDRIをトーンマッピングする(ついでにノイズ軽減や強調なんかもできる)機能だったわけだ。

デフォルトだと「方法」がローカル割り付けになってて、階調をそれなりに収めてくれている。窓の外に実はスカイドームが配置されてたり、鎧戸が水色だったり、レンダリングウィンドウで表示されなかった情報がキチンと保存されているのがわかる。

あとは、自分の好みになるよう露出調整すればいい。ちなみに「方法」を露光量とガンマにして値をいじらなければ、元の色飛び状態で変換できる。

いったん16bitや8bitモードに変換してしまうと、当然ながらHDRで保存されていた細かなデータは失われてしまう。この変換は不可逆なので、モードを変換するときは後悔しないよう慎重に行おう。変換後のデータはpsd形式で保存し直して、元ファイルは残しておいた方がいいかもしれない。変換せず32bitモードのままでも構わないんだけど、使える機能が限定されるので本格的に加工するなら最初に露出調整して現像してしまうのがいいと思う。

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HDRトーンではなく、Camera RAWフィルタを使うこともできる。やることはHDRトーンとほとんど同じだけど、こちらは部分的にマスクをかけたり、より細かい調整が可能だ。自分が操作しやすい方を使えばいいんじゃないかな。あんまりゴテゴテと補正をかけるとリアルさは失われてしまうので注意。

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もともと階調飛びしないようなライティングやシーンなら、もちろんどの画像形式で保存しても中身は変わらない。けど、現実世界のカメラで撮影するにも苦労するような、明暗差が激しいシーンを作る時にはHDRは特に有効だ。階調飛びを気にせず「現実的な数値」でライティングし、HDRIでリニアなデータのまま保存し、画像処理ソフトで「現像」する、というような流れになるのだと思う。

じゃあ「現実的な数値」とは何かというと、それはまた別の話になるので、またいずれ。



Comments

こんな貴重な解説

重宝しているホトショの解説書には、これだけ詳細なHDR画像の解説や操作法の説明は無かったですね。
内容が濃いので、自分で試して見ないと理解できそうもないので、取り合えず印刷しておいて、それを逐一見ながら試してみます。

Name
sannzi #u2lyCPR2
Site
URL
Post Date
2016-11-05
Post Hour
20:48:09

Edit

ありがとうございます

>sannziさん
Photoshopはやっぱり写真加工がメインですし、最近の機能でしかも3DCG向けの解説というのはなかなか見られないのかもしれないですね。
HDRトーンやCamera Rawは自分も全然把握しきれてないので、ぜひ実際にHDR画像でいろいろ触ってみてください。

Name
Kyotaro #-
Site
URL
Post Date
2016-11-06
Post Hour
20:25:35

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