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小ネタを拾ってみる。

2016年08月12日(Fri)

引き続いて、コメントなどで頂いてたツッコミをネタにしてみる。

「Fireflyだと建物の角が削れてるように見える」

160812-01

なるほど確かに面取りされたように陰影のつき方が二段階になっている。実際のところはどうなんだろう、というわけで近づいてみた。

160812-02

Fireflyだけ小石が見えているのはこの際気にしないでほしい。で、実際には形状は面取りされてないことがわかる。つまり影のつき方がおかしいわけだ。これはFireflyでレイトレースシャドウを使用した場合に、Shadow Min Bias(影の偏り)によって自分自身の影、いわゆるセルフシャドウの位置が現実の位置より大きくずれてしまったために起こる。細かな解説は昔書いた気がする。記事自体が古いので、現状と一致しない部分もあるけど、まあ参考程度に。より正確に影を描画するには、シャドウバイアスの値を小さくする。

160812-03

そういえば、非平面ポリゴンの描画はいつの間にか改善されてたみたい。あの不気味な斑点が出ないようになっている。ちゃんと進歩してるんだなー。

「ドーム型GROUNDをSuperflyでレンダするとIDLが効かない」

sannziさんからコメントで頂いた件。色々検証して頂いたおかげで原因がはっきりしたのでまとめておく。まず、基本小道具を組み合わせて、こんな感じのシーンを作ってみる。で、IBLライト1灯だけでレンダする。

160812-04

拡散IBLライトはPoser 6で実装された時、面の向きとそれに対応する画像の色によって色が決まるライトだった。障害物があってもなくても同じように色付けされてしまうので、強度を上げすぎないようにしたり、AOノードで陰影をそれっぽく追加してやる必要があった。

160812-05

Poser 8でIDLが実装されると、この拡散IBLの仕様は一部変更になった。IDLが使用されているときだけ、拡散IBLは無限遠からシーンを球のように包み込むライトとなったんである。したがって、無限遠とシーンとの間に遮蔽物があれば、拡散IBLは遮られることになる。

160812-06

箱の中はほぼ前面のマゼンダ色だけに影響を受けている。あと開口部付近に上面の赤や左面の黄色が出ているのがわかる。

つまりこれはSuperflyの問題ではなく、FireflyでもIDLを使用する場合には起こりうる現象だったわけだ。もちろん考え方としては、遮蔽物があれば光はそこで遮られる方が現実的である。シーンがドームに覆われていれば、中のものが外の光を受けることはない。

とは言ってもFireflyには抜け道がある。遮蔽物オブジェクトの特性パレットで、Light emitter(発光体)をオフにすればいい。

160812-07

これはもともと「カメラには映らない発光体」のようなものを扱うための設定だけど、これをオフにしているとき、二次反射光の計算はそのオブジェクトを無視するようになる。つまり遮蔽物オブジェクトを素通りするわけだ。

ではSuperflyではどうなんだろう、と試してみると、どうもSuperflyではこのLight emitterが効いてないみたい。Visible in Raytracingのチェックを外せば同じようにIDLの計算から外すことはできるけど、その場合は反射とかその辺の計算からも外されてしまうので、映り込みの可能性のあるレンダでは要注意だ。

160812-08

そういうわけで、IDL使用下で拡散IBLを使用する場合は遮蔽物の有無に気をつけなければいけない。Superflyでドームを使うなら上半球、空のマテリアルの環境値を全開にして、ドーム自体を発光させてしまえばいいかな。

160812-09

「P11のFIrefly、バンプがきつくなってる気がする」

P7(なんとか動いた!)で簡単なシーンを作って、カメラ・ライト・小道具をライブラリに登録。バージョンの違うPoserでそれぞれロードして、同じFirefly設定でレンダリングしてみた。

160812-10

基本的に違いはないみたい。

ただし、Poser Pro2010からガンマコレクション機能が追加されている。バンプマップのガンマコレクションを特に弄ってなかった場合、2010ではイメージマップノードはデフォルトの「レンダ設定の値」で読み込まれる。なのでそのままガンマコレクション機能を使うと補正されてしまい、バンプの効きは弱くなる。

160812-11

床面の凹凸がちょっと弱くなってるのがわかるかな。

Poser 11はバンプマップに接続されたイメージマップノードはデフォルトで「個別に設定→1.0」のガンマ設定になっている。なので両者をデフォルトのまま使うと、単純に効きは強くなっているかもしれない。動作的には1.0になっているのがあるべき姿なので、バンプが効きすぎていると感じたら自分好みに値を調整するのがいいかもしれない。

以上。まあこういうの、ちゃんと書いておかないと自分で忘れちゃうしー。



Comments

更なる

検証有難うございます。
Shadow Min Bias(影の偏り)は覚えていたので、roseさんへのコメントで理解できました。

ドーム型GROUND検証用の小道具やライト設定など、こう言う方法を思いつかれるのは、やはり理系の人ならではですね。
color_mathの設定、お見事です@@!
遮蔽用小道具や中の球の様子で、どのようにIBLライトが影響を受けるのか、一目瞭然で良くわかります。
それにまたもや綺麗だし(^^

余談ですが、確かPoserPro11が発表された当初は、GROUNDはドームではなく、Primitivesに入っているConstructと同じような形状だったと思います。
もう元に戻せないので記憶違いだったらすみません。
なので私としては、IBLライトを犠牲にしてもドームにする利点を優先したのかなと思った次第です。
(取り急ぎ上記修正)、Pro11を導入して、すぐテストレンダした時、セーブしたデータを読み込んだところ、最初からドーム状だったようです、あやふやな記憶で書いてすみません(^_^;)

バージョンによるバンプの効き具合の違いは私も感じていました。
なのでP7とPoserPro11の違いが無いのは意外でした、絶対違うと思っていた?

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sannzi #u2lyCPR2
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Post Date
2016-08-13
Post Hour
21:08:30

Edit

再び確かめてもらいたい事が。

昨日書いたPro11導入当初のセーブデータを開いたら、徐々に記憶が戻ってきまして。
初期のPro11ではGROUNDは(Construct_1)と言う小道具でした。
それが何回かのバージョンアップでGROUNDに昇格(と言って良いものか)したようです。
その(Construct_1)はPro11付属のマテリアルに入っている(The Construct)で変えることが出来ました。
それでもしやと思い、今のGROUNDに試したところ、これも適用できました。 
もし最新のPro11のマテリアルにも(The Construct)が入っていたら、kyotaroさんのPro11にも入っているはずです。
それを確かめてもらいたいと思いまして。

また、その中の青空の(Sand and Sky)で試したところ、照明にも使えるようです。
もしそれに使われている青空のパノラマ画像を自作出来たら、自前のIBLライトもどきが出来るんじゃないかなと思っています。

以上ですが宜しくお願いします。

Name
sannzi #u2lyCPR2
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2016-08-14
Post Hour
08:10:13

Edit

ありました~!

>sannziさん
はい、遅ればせながら確かめてみました。こちらのPoser Pro 11(11.0.4.32600)で確認したところ、マテリアルの中にはThe Constructがありました。ちゃんとGROUNDにも適用できるみたいです。どうも、小道具のConstructとGROUNDはまったく同じものみたいですね。マテリアルには発光の設定がされているやつもありますし、お手軽なライトとして使ってね、という意図なのかもしれません。
しかし、Pro 11の発売当初はGROUNDという名称じゃなかったというのは驚きです。確かにConstruct_1という名前だけでは混乱してしまうかもしれませんね。いや、そもそも形状が変わってたこと自体に混乱したんですけども(笑)。

パノラマ画像、自作できると便利そうでいいですねー。欲を言えばHDRIで作りたいところですが、jpgで調整してもそれなりに使えるかもしれません。

バンプのP7との比較はなかなか興味深いですね。実はP7だけ3Dテスクチャの計算が違うようで、凹凸の深さなどは変わらないんですが模様の現れ方が違ったんです。こういうところもキチンと比べてみないと見落としがちですね。まあ気にしなくても特に問題はないんですけども(笑)。

Name
Kyotaro #NWbyPjWY
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Post Date
2016-08-14
Post Hour
19:14:40

Edit

確認ありがとうございます(^^

実は初テストレンダした時のデータを開いたところ、小道具としてのConstruct_1が入っていて思い出しました。
そのデータではGROUNDが非表示に成っているので、おそらく当時はGROUNDは何も無かったのではと思います。

以下余談ですが、面白いと思ったので書いておきます。
試しにそのConstruct_1と今のGROUNDを、共にOBJでエクスポートし、Metasequoiaにインポートしたところ、全く同じ物だと確認できました。
ドームのUV展開は、これで良いのかと思うほど簡単にしてあります(^_^;)
こんなんで、長方形のjpg画像がドームに綺麗に貼れるのが不思議なくらいです?
私の場合、Vueのパノラマレンダで簡単に出来そうと思ったのですが、結構癖が有って難しいかもしれません。

その他、Construct_1と今のGROUNDの違いは、Construct_1は削除出来るけど、GROUNDは非表示にはできるけど削除は出来ないと言う事くらいかなと思っています。

Name
sannzi #u2lyCPR2
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Post Date
2016-08-14
Post Hour
23:47:41

Edit

いえいえ~

>sannziさん
こちらこそ、色々教えてくださってありがとうございます。細かいアップデートであちこち修正が入ってるんですね。発売当初のことはわからないので、情報があるととても助かります。

なるほど、UVマップも一緒とレンダだと地平線の高さを合わせるのが難しいんでしょうか。それにしても、地面のテクスチャももっとバリエーションがあったら面白いのに……などと思ってしまいます。

そういえば、GROUNDはcommand/ctrl+Gで表示と非表示をパッと切り替えられるのが利点ですね。どうせならついでに平面の地面ともワンタッチで切り替えられたら……(もごもご)。

Name
Kyotaro #NWbyPjWY
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URL
Post Date
2016-08-16
Post Hour
06:51:45

Edit

あっ

ちょっと忙しくしてる間に!(笑)

コメントで教えていただいてから気をつけてレンダ結果を見てみたら、確かにFireflyの場合影がズレてるんですね。
いつも影のみレンダを作って重ねているので、無意識にレタッチ時にズレを修正していたようです。

人物の時はそれでいいけど、建物の影の場合なんかはこのような錯覚を起こす可能性があるから気をつけないといけないですねえ。

Name
rose #4SZw2tfw
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Post Date
2016-08-29
Post Hour
20:29:59

Edit

ふふ

roseさん>
はい、こっそりネタにしてました(笑)。多少は設定で厳密に描画できるんですが、そこは時間と引き換えという感じですねー。影のみレンダでズレを修正、なるほどです。
背景関係は修正が面倒くさいんですよね。服の下なんか非表示切り貼りで済みますけど、大きいとライティングまで変わってしまったりしてもう(笑)。

Name
Kyotaro #NWbyPjWY
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Post Date
2016-09-01
Post Hour
21:06:16

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