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Study de 再び。

2009年11月25日(Wed)

今日はバニたんはちょっと休憩して、VOLTさんからStudy 2のお題を頂いたので挑戦してみた。このStudyは、VOLTさんの作成された微修正済みレンダ画を、各自好きなようにレタッチしてみようという試み。ちなみに前回のお題のエントリはこちら。でもってhideoutさん(チグリッパさんに改名中)のブログでは、普段は見られない詳細な経過が載っている。秘伝の胸盛り(!)など見逃せないテクニックがてんこ盛りなので、レタッチに関心がある人は必ずチェックしよう。

と、宣伝したところで(笑)。

元絵はこんな感じ。サイズは1000x1450、背景は仮で、人物だけ一枚のレイヤーになっている。

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あまり信じてはもらえないけど、自分のレタッチはかなり行き当たりばったりだ。経過を説明する時は紆余曲折を端折ってるし、工程を整理してるから計画的に見えるだけである。そもそも再現可能なように工夫してるということは、それだけ前段階に戻ってやり直してることが多いんである。や、胸を張って言うことじゃないんだけど(笑)。

そんなわけで、まずは元絵を眺めてみる。今回のお題のポイントは色替えかなあ、などと思う。

絵はシンプルなポートレート。服は流行りのハイウェストな半袖チュニックにスパッツ。そして中華柄。シンプルだけど、これがかなり厄介そう。色数が少ないのもそうだけど、微妙に傾いた構図、ライティングはほぼ真正面プラス逆光、たぶん影有りレンダなんだろうけど影はほとんど出ていない。一番しっくり来る撮影場所は屋内の結構暗いところでフラッシュを焚いた、という雰囲気。ポーズからしてスタジオ撮影かもしれない。一番厄介なのは服と太股部分の階調。hideoutさんのところでも指摘されてる太股は、たぶん肌マテリアルから拡散色テクスチャだけ抜いた感じ。肌色に合わせた鏡面値なのでハイライトが飛んでしまっている。階調は一度飛んでしまうと補正が大変なんである。

はたして。

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かなり長くなるので、続きはリンク先の記事別表示に。

(2009.11.26追記)
YUKIKAZEさんcasiopeaさんJezzさんのお宅でもルール無用のデスマッチが繰り広げられております。皆さんレタッチの容赦なさが素敵です。必見。


まずは気合いを入れるために目をいじる。手法が固定されている部分だからでもある。ハイライトは別レイヤーにマウスクリックで白い点を打つ。位置調整するかもしれないので結合せず置いておく。

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次いで新規レイヤーを作成して、黒のソフトエアブラシで影を入れていく。大きめのブラシで服と肌の境界をなぞり、服の部分を後から輪郭のハッキリした消しゴムブラシで消していく、という感じ。胸元を描いた時点で、肌部分のマスクがあった方が後々便利だと気付き、急遽作成。幸い色が付いてる部分は肌ぐらいなので、赤チャンネルと青チャンネルをレイヤーにコピーして「差分の絶対値」で重ねて結合、コントラストを上げて修正し、アルファチャンネルに保存しておく。これができるのは元絵がほとんど無彩色だからで、普通は肌マテリアルを変更して別撮りか、丁寧にパスを書くしかないんじゃないかと思う。

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で、その他の影も入れる。口の中にも影を重ねる。影が濃すぎる時はレイヤーの透明度を下げる。 描き終わったところ。

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さて最初の難関、太股部分。まずはどうするか考える。チュニックといえばやっぱりスパッツか細デニム、服を明るい感じにしたかったので、ブルージーンズにする。別撮りは手間だし、元絵は肌バンプのおかげで微妙にノイズも乗ってるし、どうせならこの階調をそのまま活かしたい。とは言え、普通にデニム生地を上からオーバーレイで重ねてもうまくいかない。

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なので、逆にデニム地に太股の階調を合成する。

まずは太股部分を切り抜いて別のレイヤーに分ける。このもっこり感はいただけないので陰影をスタンプツールで消して変形で形を整える。

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RDNAのフリーのデニム地を縮小し、足の向きに合わせて回転。だいたいの位置に配置する。

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太股のレイヤーをCommand+クリックして選択範囲を読み込み、そのままデニム地のレイヤーを選択して「レイヤーマスク追加」ボタンで太股の形にマスク。その上に太股レイヤーをオーバーレイで重ね、透明度を調整して陰影の強さを調整。ついでに、影レイヤーに太股部分の影を追加しておく。

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次にレイヤーを結合して(もしくはOption+表示レイヤーを結合で現在の表示レイヤーをスタンプ=結合した複製レイヤーを作成)、ゆがみフィルターで全体のフォームを修正する。肩を細く、ウエストをやや絞り、ついでに目の形も修正。普段はあんまり拘らない服のカクカクも、せっかくだからなだらかにしておく。

髪に明るい部分とハイライトを入れる。ブラシで遊びを入れる。お化粧をちょっとする。

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さていよいよ服の部分。気になってたんだけど、これ何だろう。

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元の服を知らないんだけど、パーツを取っ払ってしまったように見える。修正しようかと考えたけど、せっかくなら何か付け加えたい。でも中華だしなー。というわけで何故か鈴(笑)。

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着色にはhideoutさんと別の方法を取ってみる。

まずは補正後の人物レイヤーの塗り領域と肌マスクから服のマスクを作成する。で、新規グループレイヤーを作成してそこに作成した服マスクを適用、服の補正関係は全部そのグループ内でやればマスクが一枚で済む。と書くと効率よく進めてるようだけど、実際には同じレイヤーマスクを持ったレイヤーが増えてきたところでグループ化している。

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とりあえず様子見に、調整レイヤーの「レベル補正」で主に青のハイライト出力を下げて白部分を黄色っぽくする。で、描画モード「カラー」で重ねる。

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やっぱり白飛びしすぎで裾のドレープなどがどうなってるのかわかりにくい。なので、レベル補正レイヤーの下に新規レイヤーを描画モード:乗算で作成し、黒のソフトエアブラシで少しずつ黒を乗せて陰影をつける。反射マップが適用されてるからにはかなりキツい光沢の質感なんだろうけど、そこは無視。

次に、調整レイヤーの「塗りつぶし」で適当な色を選び、描画モードをハードライトにする。なんでハードライトかと言うと、色々やってみて通常モードより深みがある気がしたから。描画モードや塗りつぶし色、レイヤーの透明度はとにかく試してみてコレというのを探す。

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明るい色を重ねたことで、服だけが浮き上がってしまっている。元のレイヤーを複製して焼き込み(リニア)で重ね、レイヤーマスクを追加して黒く塗りつぶし、陰影を追加したい部分をブラシで白く描いていく。陰影を追加するときはライティングを意識しつつ。ついでに皺をちょっぴり追加。

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あとの修正は肌とネックレス、肌部分は背景に合わせて補正するし、ネックレスは鼠色になってる部分に背景の映り込みを追加する。ということでその前に背景。

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1600x1600、大きいだけでライティングとか失敗してるんだけど、まあ背景なので気にしない。ある程度補正を掛け、適当にアルファチャンネルを描いてレンズぼかしでぼかす。そんでもって人物ファイルのカンバスサイズを変更して、結合した人物レイヤーの後ろに貼り込む。ついで背景を縮小したやつをネックレス部分に焼き込んだり覆い焼きしたりしてディティールを追加。

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……。

白状すると、2回ほどこのまま最後まで仕上げたんだけど、どうにもしっくり来なかった。だもんでもうやるだけやってみよう、ということで無理矢理

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服を追加(笑)。やっぱこんだけ胸が開いてたら長袖Tの重ね着だよなー、みたいな……。エスニックな長ネックレスの方が合うかな、という気もしたけど、今回のお題的にこっちの方がいいだろうということで。肌部分に調整レイヤーの色相・彩度を重ねたり、パターンをいくつか重ねたりと工程自体は省略。

まずはさっくりと人物レイヤーを2枚コピーし描画モードをソフトライトとスクリーンに変更して肌のメリハリをつける。やりすぎると単調になるので透明度で控えめに調整。

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次に、補正した背景が明るすぎるので、もともと暗い建物部分だけをマスクしてトーンカーブで暗くする。建物部分はちょうど絵のポイントである人物の顔にかかって、ちょっと重たい感じになってるのでさらに色相・彩度レイヤーでバランスが崩れない程度に白っぽくする。

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ここからがお楽しみタイム。とりあえず秋っぽい焼き込みのきつい写真風を目指してみる。ちなみに色調補正は可能な限り調整レイヤーで行う。

まずレンズフィルタで暖色系を選んで一気に夕方っぽい感じに。さらに新規レイヤーを作成して円のグラデーションで塗りつぶし、描画モードを焼き込み(リニア)にして周辺を暗くする。レイヤーに直接トーンカーブを適用してさらに明るい部分を増やす。気に入らない部分は大きいサイズのブラシで修正する。

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調整レイヤーのトーンカーブを追加して逆に明るい部分を強調、さらにレベル補正で暗部を潰し、出力の暗い方のスライダを上げて潰れた部分をちょっとだけ浮いてるように見せる。

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色相・彩度の「色彩の統一」にチェックを入れて赤っぽい色にし、レイヤーの透明度を落としていって彩度と色味を落ち着かせる。明度も上げてさらに黒い部分が浮いてるように。色相は、一度透明度を決めてから色々変えてみると雰囲気が変わる。

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さて、あらかた色調補正が終わったところで改めて構図を考えてみる。なーんかちょっと違う感じがするので、傾けてみよう。一度人物レイヤーから上のレイヤーを非表示にして、人物関係のレイヤーを結合する。でもって、回転ツールでぐりっと回転。ついでに背景関係のレイヤーも統合して回転。もし上位のレイヤーを絵に合わせてマスクしていたら、レイヤーを結合するかリンクしておこう。で、中途半端に切れてしまったところをトリミングする。

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縮小画面で作業してると、合成部分が背景と馴染んでいるかどうかわかりにくい。原寸表示にしてみると、ちょっとエッジがきついような気がする。そこで、再び人物より上のレイヤーを非表示にして人物のレイヤーをCommand+クリック、選択範囲を拾ってから表示レイヤーを結合(不安ならスタンプで)。選択範囲メニュー>選択範囲を変更>境界線で4ピクセルぐらい選択してからガウスぼかしを0.5~1ピクセルぐらいで掛ける。

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その他気になるところはぼかしツールとかでなぞっておく。

あとは、文字入れとかものによってはノイズ上乗せとかサインを入れて完成……ではなく。

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もう一回、目とハイライトを最終確認(笑)。しつこいというなかれ。ゴリゴリと色調補正をかけてる内に、自分好みの目でなくなってることは普通にある。完成サイズが縮小されるなら、縮小してからも再確認。鉛筆ツールに持ち替えて1ドット単位で自分好みに修正していく。

正直、ほとんど変わってないことの方が大半である。
もちろん、自己満足である。

というわけで完成(クリックで倍サイズ)。

091124-28

一応全工程を駆け足でさらってみたけど、並べてみればそんなに変わったことはしてないと思う。何か一つでも拾えるネタがあったなら幸いである。補正過程は実際にはもっと色々重ねてみたり消したりやり直したりしている。さらっと決まることもあれば、「なんか違う」でまったく別路線を試してみることもある。

だから、最初の完成版(二枚目の絵)はそういう副産物(笑)。



Comments

うひゃー!!

これは一度にはとても見切れませんね、勿論すぐには理解できそうもないし。
久しぶりにプリントアウトさせていただこうと思います。
自分にも出来そうなところだけチクチク役立てようかなと思います(^^;
 
hideoutさんの所も後ほど拝見させていただこうと思います。
ところでhideoutさん、あ、いや、チグリッパさん、改名されたんですね、本当に名前にこだわらない方ですね。
もっとも絵を見ればすぐチグリッパさんだと分かりますけど。
私は今だにレンダロで付けたsanziか此方でのsannziに統一しようか迷っています。
そのてんKyotaroさんは迷いがなくていかにもらしくていいなと思います。

Name
sannzi #u2lyCPR2
Site
URL
Post Date
2009-11-25
Post Hour
22:28:21

Edit

あははは(^^;

>sannziさん
どうも、長々と書いております(^^;
い、印刷されますか~(笑)。できるだけ縮小してくださいまし。Tips関係は全部が全部真似しなくちゃいけないとかいうものでもないと思いますので、お役に立ちそうなところをさらっていただければと思います。
 
ちぐりっぱさんことhideoutさんことリンキンさんのサイトもぜひご覧になって下さい、変貌ぶりに圧倒されます(笑)。名前は…本当によく変わる方ですね~。
自分はものぐさなタチなので、表記が一杯あると気分転換より先に面倒くさく感じてしまうんです。でもレンダロのアカウントは変更するのが大変だと聞いた事があるので、無理に統一しなくてもいいんじゃないでしょうか。手間が少ないのが一番かと思います(^^;

Name
Kyotaro #NWbyPjWY
Site
URL
Post Date
2009-11-26
Post Hour
07:55:30

Edit

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