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焦点距離について・前編

2007年10月13日(Sat)

カメラのパラメータの一番上に、焦点距離(英語版ではFocal)というパラメータがある。カメラのカタログなどでたまにお目にかかる言葉だが、実際にダイアルを回してみると、カメラが近付いたり遠ざかったりするような気がしつつ、具体的にどう扱えばよいのかピンと来ない方もいるのではないだろうか。

そんなわけで焦点距離について。もちろんこの辺りのことは写真を趣味にしている方々にとっては今更な常識だろうし、自分はと言えば、写真方面は門外漢なのできちんと理解できているかイマイチ怪しかったりする。まあ、あんまり自信もないので、誤りがあったらご指摘頂きたい。


光学で焦点と言えば光が収束する一点のことなのだが、カメラ用語における焦点距離は、レンズの中心と、レンズを通過した光がクッキリと像を結ぶ地点との間の距離のことを指す。その像が結ばれる地点にフィルムや、デジカメならCCDなどがあるわけで、一言で言うならレンズとフィルムとの距離ということになるだろう。

071013-1

実際にはカメラのレンズはいくつものレンズが組み合わさっているので、厳密に言うとレンズの中心ではなく、主点という仮想的な中心地点からの距離を指すらしい。ものすごく大雑把に言えば、焦点距離が38mmならレンズはフィルムの感光面から38ミリ離れた位置にあるし、300mmの望遠レンズとかいうやつなら30センチ離れていることになる。望遠鏡みたいな長ーいレンズを装備したプロのカメラマンを見たことがある人もいるかもしれない。

でもって写される像の大きさ、つまりフィルムの感光面の大きさは、カメラやフィルムの種類そのものを変えない限り固定である。フィルムカメラの世界では一般的に35mmフィルムと呼ばれるやつが使われていて、その大きさは横36ミリ縦24ミリ、対角線では43.3ミリになるらしい(昔は半分のサイズで撮る機能とかがあったような気がする)。だもんでフィルムを使わないデジタルカメラでも、焦点距離を表す時に35mmフィルム換算、とかいう表現が使われる。

071013-2

フィルムの大きさが固定で、焦点距離が可変であるとする。するとどういうことが起こるかというと、焦点距離が変わればカメラに写せる範囲、つまり画角が変わるのだ。

071013-3

焦点距離が短いレンズは広い範囲を写すことができ、焦点距離が長いレンズは狭い範囲のものを大きく写すことができる(=遠くの小さい物を大きく写し出せる)。なので焦点距離が短いレンズを広角レンズ、焦点距離が長いレンズを望遠レンズという。

071013-4

ちなみに35ミリフィルムのカメラ用のレンズの場合、50mmを中間の標準レンズというらしいが、この『標準』の謂れには「焦点距離がフィルムの対角線の距離に近いから」「人間の目の見え方に近いから」「大手メーカーが標準付属品として売っていたから」などの諸説があるらしい。

画角が広くなれば、その分カメラからの距離が遠い物体は小さく、近くにあるものは大きく写るようになる。従って広角になればなるほど遠近感が強調され、周辺部の歪みが大きくなっていく。逆に望遠になるほど遠近感は失われ、のっぺりとした歪みの少ない像が得られる。

071013-5

一般的に、広い景色を撮影するような場合や被写体の大きさを強調する場合には広角レンズを用い、(例えば競技場の中のスポーツ選手のように)遠く離れたところから被写体をクローズアップしたい時には望遠レンズを使うそうだ。ポートレートにはだいたい標準から80mmぐらいが適しているらしいが、これは人間の見た目に近い像が得られるというだけでなく、被写界深度によるぼかし効果などの要因も含まれているのだろう。

フィルムカメラの世界でどんな状況で主にどの焦点距離のレンズが使用されているかを知れば、3DCGでも違和感の少ない絵を撮ることができるだろう。逆にセオリーを外せば、予想外の面白い効果を得られることになる。しかしやりすぎには注意だ。セオリーを外した『面白さ』というのは、どちらかというと異質なものに対する興味本位という側面が大きく、安易に『違和感』や『気持ち悪さ』に通じてしまう。

たとえば遠くのものを大きく写したいと考えて、ただ無闇に焦点距離を大きくとったとしよう。確かに被写体は画面内に大きく写るだろうが、逆に遠近感が失われるので却って被写体の迫力は感じられなくなってしまう。また、ポートレートを極端な広角で撮れば、確かにユニークな絵には仕上がるだろうが、被写体が歪んで不細工になってしまうことに変わりはない。

また、人間の目の見え方に近いからという理由で、標準付近の焦点距離に固執するのも考えものだ。それは確かに間違いではないのだが、見た目に違和感がないということは、平凡でインパクトが少ないということでもある。焦点距離による見え方の変化はあくまでも効果と捉えて、自分のイメージする絵にふさわしい見え方を効果的に選択するといいだろう。

ちなみに、人間の目には焦点距離はいくら、というようなはっきりとした値はないらしい。広範囲のものをざっと見渡すときには広角に、ものを凝視するときには望遠になっているとか。そもそも人間の視野は35mmフィルムの標準レンズの画角よりはずっと広いし、錯覚による情報の混乱も起こりやすい。あまり厳密に数値を決めてかからず、それっぽい感じのところを探り出せればそれでいいと思う。



Comments

おおー!
焦点距離と被写界深度は、カメラの詳しい知識が無くても、3DCGソフトを使ううえで知っておくべき基本ですよね。
私がお姉さん専門カメラマンだった頃(笑)、80mm単焦点レンズを使ってました。
別名ポートレイトレンズとも言うのですが、実に良いボケ味を出してくれるんですよねぇ。
なぜ80mmなのかと言うと、50mm以下だとお姉さんとの距離が近過ぎて、顔のアップなどは嫌がりますし(素人のお姉さんの場合)、逆に望遠だとお姉さんとの距離が遠くて意思の疎通が上手くいかなかったりします。
その点80mmだと近すぎず離れ過ぎず丁度良い距離を保てるんですよ。
あ、別に被写体がお姉さんじゃなくてもいいですが。(笑)
ところで、実際のカメラを正確にシミュレートしている3Dソフトって、やっぱり限られるんでしょうね。
以前から、実際のカメラとPoserのカメラとの写り方の違いなどをやってみたいと思っているのですが、いつになることやら。(^^;)
あと今回の記事とは直接関係が無いのですが、多少なりともお姉さんを撮った経験から疑問に思うのが、リアルな質感と言われる3DCG画像の殆どが、SSSを効かせ過ぎて変に透けていたり、反射が効き過ぎてテカっていたりしてますよね?(え?そんな事無いって?)(爆)
実際カメラ撮影で、標準露出を図る場合ニュートラルグレイのボードで合わせるのですが(露出計が無い場合)、そのボードも無い時は人肌(特に日本人の肌が良いようです)で合わせたりします。なぜなら、どちらも反射率18%だからです。
そのことから、SSSやテカっている肌の質感ってリアルには思えないのですよねぇ。(これは私個人の感想ですので)(^^;)

Name
hisayan #vdXS97RM
Site
URL
Post Date
2007-10-14
Post Hour
03:28:28

Edit

お嬢さんたち(年齢は問わない)を撮るときは73mmでしたねぇ。甘い写り方のするヘクトールのレンズがお気に入り。ちなみに、標準が50mmだったのは、世界最初の35mmカメラとして売り出したライカⅠA(まだ交換式ではない)が、たまたま50mmだったからです。

Name
在五堂 #jVvQXXuw
Site
URL
Post Date
2007-10-14
Post Hour
08:15:35

Edit

今日は~
3DCGを始めた頃、焦点距離はデフォのままでほとんどカメラの移動でやっていました^^;
初期の頃の絵を見るとそれがありありと分かる物があります。
今もそれほど真剣に考えているかと言うとそうでもないような気がします。
この解説や絵で良く理解できたのでPoser、Vueに関わらず良く考えて決めるようにします。
カメラの位置で焦点距離の調整も変わってくるのでそこらが思案のしどころかなと思います。
遅ればせながら「心の名作」展拝見しました。
BWV.552と言うのは正直どういうものだか分からなかったので実際聞いて見ましたがKyotaroさんの描く絵にどことなく表れているような気がしました。
私の好きな音楽も知らず知らず絵に影響が出ているのかも知れませんね。

Name
sannzi #u2lyCPR2
Site
URL
Post Date
2007-10-14
Post Hour
11:10:02

Edit

>hisayanさん
おお、hisayanさんはおねぃさん専属カメラマン(微妙に意味が違)だったんですね~(^^;
カメラの基礎知識はやっぱり押さえておきたいですよね。Poser界にはカメラに詳しい方もたくさんいらっしゃるようなので、自分なんかが書くのもちょっと気が引けるんですけども(笑)
とりあえず次でPoserのカメラについてちょっと触れて、被写界深度についてはまた別にまとめてみようと思います。
各アプリのカメラの性質は気になるところですねー。Poserのカメラが何ミリフィルム設定なのか、明記されてなかったのでちょっと計ってみたんですが、どうも随分小さいようです。Shadeはちゃんと35ミリなんですけど。
それにしても「お姉さんとの距離」にはなるほどと思いました。実際のカメラだと被写体との距離というのも考えないといけないんですね。CGはピント合わせもレンズの明るさも考えなくていいし、そのヘンは助かります(笑)
>SSSとかテカリとか
確かに、D|Sレンダ作品なんか拝見するとあちらの方々の好みというのがよく分かるような気がします。SSS+ブリンシェーダでバックライト効かせすぎというか(笑)
もともと洋物の劇画がそういう表現が主流でしたから、あちらの方はそう違和感を感じないのかもしれませんね。
 
>在五堂さん
ああ、在五堂さんもおねぃさん専属……(違
いえいえ、実際にカメラに触れてこられた方のお言葉は勉強になります。3DCGがレンズの個性まで再現できるようになるには、まだかかるんでしょうね。
標準レンズは大手メーカー説が正解ですか。他のメーカーがこぞってそれを取り入れたということは、よほど影響力が強かったんですね~。
 
>sannziさん
こんにちは~。
そうそう、最初はカメラを引いたりしてなんとか画面に収めようと四苦八苦するんですよね(笑)
カメラを引き過ぎて、レンダしてみると壁の中にカメラがめり込んでいたりして(自分だけ?)
かといって今は焦点距離に気を使っているかというと、結構適当だったりするんですが(^^;
心の名作展、ご来場有り難うございます。曲を聴いて下さったんですね、嬉しいです。
……いやー、しんどかったでしょう(爆)
フーガだけなら6分程度の曲なんですが、家族には1分も待たずにリタイアされたりなんかして(泣笑)。
あまり自覚はないのですが、好みの雰囲気とかは、自分の絵柄にも現れるものなのかもしれないですね。sannziさんはどんな音楽がお好きなんでしょう?(^^

Name
Kyotaro #NWbyPjWY
Site
URL
Post Date
2007-10-14
Post Hour
17:39:37

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Poser4は、確か28mmと記載されていたような気がします。かなり広角ですね。
Vueの場合、DOFの調整がちょっと厄介(というか、甘い)せいで、80mmぐらいまで望遠にしてやらないとうまくボケが出なかったりします。DOFのためだけに構図や遠近感を犠牲にするのも何なので、最近はVue上でのDOFは放棄しました(笑

Name
HONEY #pM6OKWLY
Site
URL
Post Date
2007-10-16
Post Hour
14:05:51

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>HONEYさん
28mm……横幅でしょうか。かなり小さいというか、狭い範囲しか写せないような感じですね~。どうせなら普通のカメラをシミュレートしてくれたらいいんですけど。
被写界深度は焦点距離の長いレンズでないと深くならないみたいですね。風景とか、広角に撮りたいときにはやはり犠牲にしないといけないというか……。私ももっぱらPhotoshopぼかしに頼っています(笑)

Name
Kyotaro #NWbyPjWY
Site
URL
Post Date
2007-10-16
Post Hour
23:13:20

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