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翼ある者展が一段落

2006年10月09日(Mon)

投稿期間が無事終了、コメントの受付が15日一杯ということで一段落。皆様お疲れさまでした。拙作に頂いたコメントは、一つ一つ噛みしめながら拝読しております。

自分の作った絵に対していちいち制作過程を載せるのは、往生際が悪いような、自己顕示欲が強いんじゃないかみたいな気持ちになったりすることもなくはない。が、自分が他人の話を聞いて参考にすることがよくあるので(純粋に読み物として興味深いし)続けていきたいな~と思ってたり。

というわけで。

06109-1

「どうやって作ったのか?」とお尋ねの声も頂いたが、なんのことはない。そのまんまレンダしたものをガリガリ色調補正しただけであったりする(笑)

ちなみにライトは0灯。緑のライトで照らしているわけではない。もちろんごく普通のレンダ結果をレタッチすることでも同様の効果は得られるだろうが、今回は最初からマテリアルで再現することが目的の一つだった。

昔、MacintoshにはAfter Darkというスクリーンセーバーがあった(今でもあるみたいだけど)。羽の生えたオーブントースターが飛んでくるやつ、と言えば幾人かの方は懐かしい思いに駆られるかも知れない。その中に、妖精を模した光の粒が乱舞する、美しいモジュールがあった。もう名前も思い出せないが、その無機的で幻想的な光景は今でも印象に残っている。その「印象」そのものをモチーフとして、意識の狭間に滑り込む、根源的な存在を表現したいというのが今回のテーマだ。最初に充てていた邦題は「畸形信仰」だったが、やや障りがあるので異形崇拝となった。平たく言えばマト○ックス+ファンタジー、まんまである。

起用したフィギュアはG2 James。理由はもちろん、こんな時でもなければ使わない手持ちのフィギュアの中で一番、体の造形が美しいからである。特に肘・膝、また指先や足首から先など、関節を跨ぐ腱が表現されている男性フィギュアは皆無に等しい。筋肉に対して特に思い入れがない自分にとって、ただ破綻しないだけのソーセージのような肉体は美の範疇に入らないのである(暴言)。

なわけでとにかくポーズをつける。構図が大体決まっていたので、画面比率とメインカメラを先に固定し、サブカメラやポーズカメラでポーズを決める。翼は非生物的な曲線が描けるDreamer Wingを使用する。ちなみにこの翼、いわゆる「両面ポリゴンの呪い(笑)」がかかっている。そのまま使用すると三角形のノイズが出てしまうので、マテリアルルームで「ノーマル_前」にチェックを入れるか、P5なら面反転ポリゴンの削除などの対策を打とう(詳しくは拙宅Tipsを参照)。まあ、今回自分の場合はウラもオモテも関係なかったんだけど。

で、ポーズが決まったらマテリアルを詰める。全てのライトをオフにして、背景も黒にして、自分から発光しているように設定する。

翼の部分は3Dテクスチャのノイズを使用した。

061009-2

まんべんなく分布したノイズにバイアス(Photoshopでいうトーンカーブ)をかけて暗くした後、四捨五入で0(完全に黒)と1(完全に白)に振り分けて点描を作る。それを環境値に接続し、全体に疎にしたかったので透明値にも接続する。細かいパラメータ自体はレンダリングしながら調整。テクスチャを全部消去してしまっているので、レンダリングの早いこと(笑)。

体の部分はエッジブレンドを使用して、視点に平行な面ほど発光率が高くなるようにする。また、底から浮かび上がるようにしたかったので、プローブライトを使用して若干下向きの面の光が強くなるようにする。プローブライトの特性自体は、まだ完全に把握しきれていないので詳しい説明はまたの機会に。

061009-3

髪の部分は体と同じように最初はテクスチャを使用していなかったのだが、やや毛先が煩わしかったので元のトランスマップを利用する。

061009-4

DAZフィギュアを使用しなかったもう一つの理由は、マテリアルグルーブが細分化されていて、ちょっとした変更を反映させるのが面倒だったからだったりする。ともかく出来たマテリアルはライブラリに登録して、使い回しが効くようにしておく。

シーンはこんな感じである。環境色が1なので、眩しいことこの上ない(笑)

061009-5

この状態ではポージングもままならないので、ポーズを再調整するときはライトを点けて、環境色をオフにして調整したりする。他の周囲のフィギュアも同様に、作成したマテリアルを適用して一体ずつレンダリングしていく。

で、レンダリング後は肩や脇腹などやや気になるところを修正して、周囲のフィギュアを適当に配置したらガシガシと補正を掛けていく。本当はもう少しあからさまに電脳的なイメージを重ねるつもりだったが、自分の引き出しにないものはどうひっくり返っても出せないのであった(反省)。

ところで、今回一番難儀したのは、実はファイルサイズである。単色だから一見軽そうに見えるかもしれないが、細かいノイズが多い(つまりエッジが立っている)絵はJPEGが苦手とするところ、さらに今回最も苦手な縦向きノイズだったりするからもう目も当てられない(JPEGは一般に横方向に変化のある画像の圧縮を苦手とする。試しに縦グラデーションと横グラデーションを同一設定で出力してみると差がよくわかる)。

普段自分は作品用としてはPhotoshopの90%~95%の画質を使用するのだが、これだとあっさり規定サイズをオーバーしてしまう。絵を縮小すると今回のポイントである点描が潰れてしまうし、かといって当然ぼかしなどをかけるわけにもいかない。

というわけで、1%刻みで画質を落として出力し、CGIに撥ねられなくなるまで投稿を繰り返したのであった(笑)。通った画質は78%、まあ許容範囲である。

ちなみにJPEGを使用するなら、画質100%を使用するのはハッキリ言って無駄である。100%とは圧縮しないという意味ではなく、原理的に劣化が完全に無くなることない。そしてファイルサイズ自体は、画質90%を越えたあたりから飛躍的に増大する。

試みに自分の絵を画質95%と100%でJPEG出力し、それを再度画像処理ソフトで開いてみよう。一方の画像を他方にコピーし、レイヤーモードを差の絶対値に変えてみる。

061009-6

そこに現れたものが増大したファイルサイズ分に含まれるデータである。あなたの目はそのデータをどう捉えるだろうか?

というわけで、画質はほどほどの数値に設定するのが、環境にも優しいCG描きなのである。

061009-7


Comments

素晴らしい

こんど試してみます。
それにしても、本音のあたり、思わず頷いてしまいました。
あのテクスチャの重いこと、スペック低くなった(進歩に後れているとも言う)マシンを抱えて難渋している我が身を思わず振り返ってしまいました(笑。

Name
在五堂 #jVvQXXuw
Site
URL
Post Date
2006-10-10
Post Hour
03:20:35

Edit

此方では初めまして。

ぽざくらライト講座でお世話になった上に此処まで追いかけて来てしまいました。
あまりに興味深い内容だったので。
完全とはいえないまでも試してみましたが、その結果は本当に驚くばかりです。
Poserでマトリ○クスの世界が再現できるなんて。
Poserというソフトを探求されてこそ編み出された方法だと思うんですが実際試すとその美しさに驚いてしまいます。
妖精がなぜ登場したのかその由来も分かりました。
前回の日記も見ましたが自分も尚真面目に絵作りしなければと思うことでした。

Name
sannzi #u2lyCPR2
Site
URL
Post Date
2006-10-10
Post Hour
18:45:56

Edit

本邦初公開(?)マトリックスマテリアル~

>在五堂さん
使いどころが難しい小技ですが、思い出した時にでも試してみてください(^^
Poserのテクスチャは本当にメモリを食いますね~。自分のマシンは結構余裕がある筈なんですが、それでもレンダを繰り返すと不安定になってしまいます。テクスチャは、見えないところは容赦なく剥がしていくのが最近の自分の習慣になりつつあります(笑)
 
>sannziさん
ようこそいらっしゃいませ~(^^
こちらはネタの比重がかなり大きいですが、お役に立てることがあるかもしれません。
さっそく試していただけましたか、ありがとうございます。書き忘れてて申し訳なかったのですが、プローブライトの他の欄の各3つの数字は、どれも0にしておくとちゃんと下向きに光が出ます。バラメータやレタッチでも結構雰囲気が変わると思いますので、色々試してみてくださいね(^^
自分は文章だけ読むと真面目に見えますが、中身は結構おちゃらけているので話半分でお願いします(笑)

Name
Kyotaro #NWbyPjWY
Site
URL
Post Date
2006-10-10
Post Hour
21:28:25

Edit

すごいです。うれしいです。これでマトリックスごっこができる~(喜。
やっぱりKyotaroさんところのじぇーむすさんは1号も2号も幸せですね。ちゃんと晴れ舞台に立たせてもらえる。Aさんは怖いけど(笑。

Name
duha #UbmerNwM
Site
URL
Post Date
2006-10-11
Post Hour
22:52:43

Edit

おおー!
なるほど、こういう設定だったんですね。
それにしてもkyotaroさんは、良く研究していますね。
私には一生掛かっても編み出せない技ですよ。
いつかこの技を使ってみたいと思います。

Name
hisayan #7fVLQsqo
Site
URL
Post Date
2006-10-12
Post Hour
00:10:06

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>duhaさん
どぞどぞ、マ○リックスごっこに最適です~。思う存分スミスを量産してください~(え)
G2は逆に個性を出したくないときとかに度々使うかもしれませんね。まだ色々バグみたいな問題が多いですが。晴れ舞台……ひょっとしたらこれが最後の晴れ舞台だったかもしれません(ええっ)
 
>hisayanさん
マテリアルはまだまだ奥が深くて、ようやくPhotoshopのフィルタみたいな使い方が少しずつわかってきた感じです。ノードごとに値がどのように変わるかが分かると、色々繋ぐのが楽しくなりますね。マテリアルルームの動作が怪しいのはどうにもならないですが……(^^;
この効果、幽霊とかにも使えるかもしれませんね。何かの折りにでもお役に立てればと思います(^^

Name
Kyotaro #NWbyPjWY
Site
URL
Post Date
2006-10-12
Post Hour
06:04:36

Edit

じぇーいむす!

Jamesの体の美しさてあんま知られてないんですよね。他の男性フィギュアに比べて本当に精細だし、デフォルトでもラインが本当に美しい。
のに見かけない・・・世界的にも見かけない。そんなぁ。と思ってるとKyotaroさんが出してくださるわけw
 
自分では白人顔はあまり好きでないもので体型補正はしたものの顔のカスタムで詰まってます。

Name
るえか #kHmSEWWs
Site
URL
Post Date
2006-10-12
Post Hour
19:56:47

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いぇーす!

>るえかさん
いらっしゃいませ~(^^
そうなんですよねー!! こんなに美しいラインなのに、何故もっと普及しないのか……。やっぱり服の少なさが拍車を掛けてるんですかねぇ(嘆息)。
まあじぇーむず普及率向上委員会(詐称)として、ゲリラ的アピール活動を行っていきたいと思います(笑)
 
ただ顔はちょっと……確かに弄りにくいですねぇ(^^;
まずは垂目をマグネットで補正することでしょうか(笑)

Name
Kyotaro #NWbyPjWY
Site
URL
Post Date
2006-10-12
Post Hour
22:20:24

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