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シャドウマップ・その戦い。

2006年09月21日(Thu)

前回、「シャドウマップは通常シーン全体を含むように作成される」と書いたが、
これが具体的にどういうことか、ちょっと確認してみよう。
まずは適当な人物フィギュアと基本小道具の平面詳細をロードする。
そしてライトの一つを上方に動かし、視点をそのライトのライトカメラに切り替える。
その状態で、平面詳細を適当に1000%ぐらいに拡大してみよう。
すると次の瞬間、視点が自動的に遠ざかって平面詳細がウィンドウ内に収まるはずだ。
 
122-1

今度は平面詳細を選択し、特性パレットで「影を作成」のチェックボックスを外してみよう。
すると今度は人物だけがカメラに収まるようにクローズアップする。
画面がすぐに切り換わらない場合は、選択しているオブジェクトなどを変更してみるといい。
 
122-2

このように、ライトカメラは影を作成するオブジェクト全てを含むように自動調整される。
なぜこのような自動調整機能がついているのだろうか。
それは、今使用しているライトが無限光だからだ。
スポットライトでは、ライトが照射する範囲、イコール影の作成される範囲は決まっている。
したがってシャドウマップもその範囲内で作成すればいい。
ところが無限光ではそうはいかない。無限光は無限の範囲を照射するライトであるため、
そのままではシャドウマップも無限大の範囲を含めなければならない。
そこで「最小の範囲で済むように」、シャドウマップに含める範囲が可変になっているのだ。
 
ここまで書けばもうおわかりだろう。
以前、ライトカメラにはライトの調整以外の肝心な機能がある、と書いた。
つまりライトカメラは、ユーザーがライトを調整する用途にも使えるものの、
もともとはPoser自身が、シャドウマップを生成し影を描画するために使用するものだったのだ。
 
(蛇足だが、ポイントライトでシャドウマップが使用できない理由もこのあたりにある。
 ポイントライトは全方向を均等に照らすライトだが、そのシャドウマップを作成するには
 まず全方向を均等に投影するカメラ、というものが実装されなければならない。
 なので今のところポイントライトではレイトレース影しか使用できないのである。)
 
そしてなにより重要なことは、
ライトカメラを動かすことで、影の作成される範囲をコントロールできるということである。
 
いや待て、ライトカメラは動かせないんじゃなかったか?
 
とツッコんでくれたあなたは一連のTips記事を熟読して下さっている方である。ありがたい。
確かにライトカメラはライトに付属するカメラなので、位置も角度も動かせない。
だが実は、写っている範囲を拡大したりずらしたりすることはできるんである。
 
122-3

ズームは拡大縮小(値が小さくなるほど拡大)、パンXは横方向の移動、パンYは縦方向の移動だ。
これらを使用して、カメラを対象まで近づけてみよう。
 
122-4

ライトカメラからはみ出す部分で影が途切れているのがわかるだろう。
ちなみに実際にレンダする範囲が正方形でない場合は、横幅を基準にした正方形で計算される。
 
122-5

この機能を使えば、カメラに写る範囲より大きな背景を使用しているときでも、
必要な範囲だけにシャドウマップの生成範囲を限定することができる。
大きな小道具(笑)を使用していても、影の精度を上げずに鮮明な影を描画できるのである。
 
122-6

もちろん、この方法では背景でも遠方にあるものの影を落とすことはできない。
その場合はもうさっぱり諦めて、合成に走ることをお勧めする。
つまり遠景の影をレンダしたものと、近景の影をレンダしたものを画像処理ソフトで合成するのだ。
 
122-7

近景をレンダするときに遠景を表示しておくのは、まあ合成が楽だからだ。
Poserの出力するイマイチなアルファチャンネルでも、フリンジをほぼ気にせずに作業できるので
トータル的な作業時間は短縮できるんではないかと思う。
レンダリングオプションで影のみレンダを使うのもアリ。
 
まとめると、背景を含むシーンで明確な影を描画するためには
・背景小道具が影を落とす必要がない場合は「影の作成」のチェックを外す。
・背景小道具も影を落としたい場合はライトカメラで影の作成範囲をギリギリまで絞る。
・影を落とす範囲が広い場合は、ライトカメラを調整したものを何パターンか合成する。
・影の精度や影の偏りはその都度適切に調整する。
ということになる。
これらにレイトレースシャドウやAO(環境閉塞)を適宜組み合わせることで、
Poserでもそれなりに説得力のある影の描画が可能になるだろう。
 
果たして。
長々と説明してきたが、結局のところ結論は
劇的に効果が出たり簡単手軽に解決することはない、ということだ。
つまるところはどれだけ的確に対策を打てるか、そして手間暇をかけられるかが
最終的な品質に繋がっていくのだと思う。
 
 
次は……レイトレースシャドウとAO(環境閉塞)をすっ飛ばして、拡散IBLに行こうかな~。
 
■頂いたコメント■


コメント:(duha)
そ、そういうことだったんですか(理屈編)…そしてそういう方法があったんですか(実践編)…。水着展でさんざん悩んで投げ出した影の正体がこんなところにあったとは。かくなる上は真冬の曇天でくっきりした影を描写して憂さを晴らそうと思います(笑。
それにしても、ここ一連の光と影の講義はものすごく勉強になります。判りやすい説明、いつもありがとうございます~。

コメント:(ibr_remote)
情報をありがとう。
それは多くである。
ピックは学び易くない。

コメント:(sannzi)
平面詳細の拡大縮小の所を実際やるとほんとに驚きます。
ライトカメラのほんとに肝心なな役割がシャドーマップを作るためだったというのが良く分かりました。
ポイントライトがシャドーマップを使えない理由のくだりは推理小説の謎解きを読んでいる様です。
いつもVueばかりの私には言う資格は無いかもしれませんが、これだけご説明を聞いた後まとめを読むと良く分かる気がしました。
この講座を読むようになって影をああでも無いこうでもないと自分なりに工夫するようになりました。
有難うございます。

コメント:(Kyotaro)
>duhaさん
知らないとホントにどこをどう調整したらいいのか分からないですよね~。Poserは特に……(^^;
真冬の曇天の前に、秋の木漏れ日にれっつリベンジ! なんて言ってみたりして(笑)
講義といえるほどたいしたものではありませんが、何かしら役に立てたらいいなと思います。
 
>ibr_remote-san
You're welcome!
In rendering with a shadow depth map, the light camera is important.
By adjusting the light camera, we can render of clearer shadow by smaller map size.
I wish that everyone will be able to rendering with no pain.
 
>sannziさん
あははは(^^; 急に画面が動くからビックリしますよね~。
まあそんなわけで長々と引っ張ってきましたが、ライトカメラの使い勝手がイマイチなのは、仕様上しかたないことなのかな~、と考えてます。
それでも使うと影を自分でコントロールできるようになるので、表現に幅が出て良いのではないでしょうか。
意識しながら色々いじってみると新たな発見があると思います。頑張って下さい(^^

コメント:(pines)
うわ~、影がくっきり!!
これができなくて、ライトまわしたり、カメラ回したり、もう知らん・・と思ったり。
そうかぁ、こうすればいいんだぁ。ありがとうございます。
またまた、次が楽しみ。

コメント:(Kyotaro)
>pinesさん
どういたしまして~。やっぱりお困りの方たくさんいらっしゃったんですね~(^^:
これで自在に……とはいきませんが、そこそこ狙いに近い感じで影をだせるのではないかと思います。
次は……また理論編っぽくなるかも知れません。




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