Aeon Timeline 2を試してみた
2017年04月20日(Thu)
今回はCGじゃなくて書きものネタ。
たとえば、Aさんは冬の生まれと設定している。お話を読んでくださった方ならわかると思うけど、その昔彼が年齢を訊かれた時に「年が明けたので24」と答えていたのは、「正確な日付が分からないから新年を迎えたら1歳加算することにしている」からである。したがって、Aさんは誰よりも早く歳をとる、ということになる。
ひるがえって、Bさんは春の生まれだ。「(新)緑の聖日の翌日に」と言うぐらいだから、どうやらあんなファンタジーな世界の一般市民でも自分の誕生日ぐらいは把握しているらしい。
では、この二人の歳の差が九つというのは、果たしてBさんが誕生日を迎える前なのか、後なのか。
そんなことを考えていると頭がこんがらがって、おもむろに年表などを作り始めるのである。ええっと、一日に徒歩で移動する距離がだいたいこれぐらいで、山越えもあって、一ヶ月経過してて……トレボー城塞からクロビスの街までは何キロぐらい離れているのかなあ、などなど。
ところがこの年表というフォーマットがなかなか面倒くさい。ワープロソフトだと計算が大変だし、表計算ソフトを使ってみても、抽出や整形が煩雑だったりする。何か効率的な方法はないかなあ、と漠然と思っていたら、年表作成ソフトなるジャンルがあることを知った。そんな中で気になったのがAeon Timeline 2というソフト。時系列で出来事と要素の関連性を管理するらしい。英語版しかないけどMac/Windows両対応で、20日間の試用ができるということなので、ダウンロードしてみた。

なかなかいい感じ。英語だけど、操作的には特に難しいところもないと思う。
開始日と終了日を持つ出来事(イベント)があって、それとは別に「人物」とか「場所」とかいった要素(エンティティ)を作成できる。この要素はカスタマイズできるけど、とりあえず最初から「アーク」「人物」「場所」の三種類が登録されている。アークというのは一連の文脈みたいな感じなのかな? とりあえずカテゴリ的な使い方をしてみた。でもって、たとえば何年何月の何日にトレボーがワードナに魔除けを盗まれた、という出来事が起こったら、まずその出来事を作り、さらに「トレボー」と「ワードナ」という人物要素を作って、出来事に二人を関連付ける。

すると人物単位に表示を切り替えても、どちらの年表にも魔除けを盗まれたという出来事が表示されるわけだ。この関連性は、一覧表形式でチェックすることもできる。

ある時点で誰がどこにいたか、みたいなことがパッと確認できるし、矛盾や漏れのチェックができるようになる。なにしろ付属しているサンプルデータがオリエント急行殺人事件のアリバイ一覧というのだから、まさにうってつけなわけだ。
便利なのは、生まれた日を出来事として作り、人物要素側に生年月日として登録しておくと、自動で年齢を表示してくれるところ。不死者や自動人形でもどんと来いだ。

さらには、カレンダーを自分世界仕様にカスタマイズしたりなんかもできる。毎月30日×12ヶ月+余りの日5日または6日なんてカレンダーでも対応可能。いやウチのことだけど。

暦の名称も作れるので、指輪物語の第三紀何年、みたいな表示も可能。ただ、閏年はグレゴリオ歴に従うようだ。つまり4年に1回あって、100年に1回なくて、400年に1回ある、という一年あたり365.2425日計算。
あと残念なのは、暦の混在や途中からの変更ができないところ。西暦と年号並列表示はできないし、16世紀あたりで余りの日を廃止して、31日の月が作られた……みたいなケース(ウチのことだけど)は設定できないっぽいので、そういう場合は別ファイルに分けるしかないみたい。それに、出来事や要素を一個でも作ってしまうとカレンダーの修正自体ができなくなってしまうので、最初にガッチリ作り込んでおく必要がある。
他にも日付の設定が年単位や月単位で選べるにも関わらず、表示している年表の間隔が優先されてデータが丸められてしまうらしいところ、設定画面のカーソル移動などがイマイチ練られてないところ、など挙動の怪しい部分は散見するものの、全体的にはとても使いやすい。OS標準のバージョン管理機能に対応してるし、うっかり保存ミスをやらかしても安心だ。Scrivenerとの連携もできるし、プロジェクト管理的な使い方もできるぽい。
表示範囲は任意に変えられるから、大きなスパンの出来事も一元管理できる。
しかし、App Storeで6千円、直売で50ドルはちょっと高いなあ……。でも大掛かりな背景セットを3つぐらい購入したらそれぐらいは軽く払ってるし、ずっと使えるなら悪くない値段かなー。
にしてもなんか、これ作り込んだら、もうお話書かなくても満足できそうな気がする(笑)。