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あくちゅある。

2017年02月20日(Mon)

海外のアイテムの説明を読んでたりすると、たまにActualという表現を見かける。現実の、とか実際の、とかいう意味だ。日本語で言う「物理的に正しい」みたいな、ある種絶対的なニュアンスを含んでいる……ような気がする。とはいえ所詮はCG、何かしら誤魔化しはあるものだ。実際には現時点での、実用性と理想の妥協点、というような解釈をすることもできるだろう。

ものすごく以前、瞳の表現力を追求するために虹彩を凹ませるという手法があることを挙げた。斜め方向からの光を受けやすくなって、明るい部分が生まれるからだ。その時、「実際には人間の虹彩は凹んでいるわけじゃない」とも書いた。角膜を通過した時に光が屈折するから、そんな風に見えるのだと。

でもって、そろそろそういう「物理的に正しい」構造も、表現として使えるんじゃないかな~、と思ったわけだ。ついでに、濡れた表現のために眼球全体が透明な光沢の層との二重構造になっているのも、レイヤーで階層化できるようになった今では必要ないんじゃないか、むしろ計算負荷を増やしてるんじゃないか、とか。

そんなわけで、新しい義眼を作ってみた。

170220-1

構造を横から見るとこんな感じ。

170220-2

今回の目玉……というかポイントは光沢層の廃止と、瞳孔部分の形状。白目と瞳孔のパーツを繋げて白目が厚みを持っているような形状にしてみた。SSSを適用した時に、影響がより出やすくなるんじゃないかなあ、と。

人間の眼球は直径が24~5ミリ、黒目の直径が11~2ミリ。その比率で作ってからモデルに合わせて調整する。前回は3:1ぐらいの比率で作ったような気がするから、だいぶ黒目が大きくなる。

強膜いわゆる白目は厚さが最大1ミリ程度で、眼球の中は硝子体と呼ばれる液体(ほとんど水)で満たされている。で、強膜と硝子体の間は脈絡膜という黒く薄い膜に覆われていて、暗室のように余分な光を吸収するようになっている。赤ちゃんの白目が青っぽいのは、この脈絡膜が透けて見えるからなんだそうな。成長して白目の組織がしっかりするにつれて白が濃くなり、歳をとると脂肪がついて今度は黄色く濁っていく。この脈絡膜をpupilで表現することにする。半分の大きさしかないのは、なんとなくめんどくさかったから……(笑)。

強膜と角膜は連続していて、白いのと透明なのの違いはコラーゲン組織の大きさの違いらしい。白目の方が組織が大きくて、光が散乱するのだとか。つまり白目というのは半透明で、SSSを適用するべき材質だということだ。でもって、黒目との境界がなんとなく青黒っぽいのは、内側の脈絡膜の影響がほんのり現れているからだ。

170220-3

そんなことを考えつつ、まずはテクスチャを適用してレイヤーで光沢を追加する。今回UV自体が変わったので、テクスチャも若干改造している。

170220-4

で、白目にSSSを追加。フチの部分がより青黒くにゅるっとした感じに……なってるかな。光が透過したせいで、反対側の白目の断面が白く見えてしまっているけど、とりあえず無視。

170220-5

角膜に屈折を適用する。角膜の屈折率は1.337、水晶体と角膜の間の眼房という空間は眼房水で満たされていて、これの屈折率が1.336。水晶体自体の屈折率は1.43程度ということらしいので、とりあえず水っぽい屈折率を設定する。うーん、レンズっぽい感じになったかな。

170226-6

今までの義眼と比べてみる。大きさもテクスチャもいろいろ変わったからなんとも言えないけど、よりそれっぽく見えたらよしとしよう。

170226-7

テストレンダ。まあ、結局この大きさになっちゃうし、気休め的な。

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