Forum3Dの「お題でレンダ」で、前回ライティングで夕暮れ時を再現するというお題を出させてもらった。「ライティングで」という点を汲みとって、色々試行錯誤してもらえたなら良いと思う。
が、実は自分、色つきライトを使うようなお題を自分から出しておいて、「色味を決めるのはポストワーク」を信条にしていたりするのだった(笑)。
どだい、8bit・フルカラーに収められてしまうレンダラで自然なライティングを実現しようとする方が無謀である。コントラストの高い絵を作りたいからといって、ライティングの段階で極端にコントラストを付けたりはしないのだ。無理して色飛びを発生させるぐらいなら、レンダリングの段階では階調や色相をキッチリ撮っておいて、後からイメージ通りに仕上げれば良いんである。
そんなわけでお題に出した絵は生レンダ(ただし細かいところはレタッチ済み)だけども、そこから「思った通りの夕暮れ」状態まで色調補正してみる。
元絵はこんな感じ。
やってること自体は昨年のライティングTipsを書いた頃から変わらない。ライトは青っぽい色を乗算した拡散IBLと黄色っぽい無限光の2灯である。変わったことと言えば、無限光の色味を強調するために、強度を120%にしてるぐらいかな。
一応意識したのは拡散IBLの強度。あまり強くしすぎると全体が白っぽく浮いてしまって、陽の当たっている部分との明暗差が失われてしまう。それに、人間の目には補正機能がついているから、実際には暗いところもそれなりに明るく補正して見ているはずなのだ(と、強引に解釈)。
というわけで、調整レイヤーのトーンカーブで補正してる感じにトーンを上げる。トーンカーブが無いならレベル補正で代用。
色味がきついような気がするので、調整レイヤーの色相・彩度で「色彩の統一」にチェックを入れてセピアな感じにする。以前「微妙なダブルトーン」で紹介した方法だ。
で、レイヤーの塗り(レイヤー効果を使わないので不透明度でも可)を下げていく。
調整してる内になんとなくノスタルジックな雰囲気にしてみたくなった(適当)ので、色相・彩度レイヤーの塗りをやや強めにしている。
ついでに元絵の上に数ピクセルぼかしたレイヤーを挟んで、紗のかかった感じにする。何かの回想シーン(笑)に出てきそうな、のすたるじーな感じが出ているかなー、と……。
もうちょっと赤い夕日を強調したい場合はどうすればいいだろう。
色相・彩度レイヤーで色彩を統一してみると、当然ながら下のレイヤーの色味は失われてしまう。レイヤーの不透明度を落とせば色味を保持できるけど、重ねたオレンジ色まで弱くなってしまう。
そういう場合、自分はレンズフィルタを使っている。レンズフィルタがなければベタ塗りしたレイヤーをオーバーレイで重ねればいい。全体的にフィルタがかかった感じになる。レンズフィルタでは輝度を保持するオプションが使えるが、オーバーレイを使う場合は重ねる色の輝度によって全体のトーンも変わってしまうので注意。
そんなわけでオレンジ色……というか肌色を重ねてみたところ。
ちょっと色味がきついというか、階調が飛んでるような気がするので、下に色相・彩度レイヤーを置いて元絵の彩度を落としてみる。
すると少し柔らかくなって、より全体的に夕焼け色に染まった感じになっている
……かな(笑)。
フォトレタッチ関係はイチCGソフトのテクニックに比べればかなり一般的で先達も多く、情報量も豊かである。自分がアレコレ試行錯誤してることも、とっくに誰かが整理して形(出版物とか)にしていることがほとんどだ。だもんでこまめに情報収集してネタを集めたり、一つずつ実践して身に付けたりの積み重ねが後々効いてくるんではないかと思う。
そう思って、日々レイヤーを捏ね回しているわけだけど……最後はセンスなんだろうなー。