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IKについて曖昧な記述を見かけたので、ちょっと補正してみる。トラックバックを送信できればいいのだが……。

通常、フィギュアの手や足といった末端のパーツは、胸の軸回転が○度、肩の上下が○度、加えて腕の屈伸が○度……と、骨格の根元(腰)から順番に各パーツの回転を足し合わせなければ、どの位置にあるか特定できない。したがって、ポージングは根幹のパーツから付けていくのが基本だ。

しかしそれでは、手を動かしたり歩いたりするようなポーズを付ける時に手間がかかって仕方がない。そこで考案されたのがインバースキネマティクス(以下IK)だ。IKは通常とは逆に、終端となるパーツの位置や角度を決定すると、そこに至るまでの各のパーツの角度を自動的に計算する。
PoserではIKはフィギュアにIKチェーンという情報を組み込むことによって実現している。標準的な階層構造を持つ多くのフィギュアは両手と両足にIKチェーンが組み込まれており、デフォルトでは足のIKが有効になっている。

さて、PoserでフィギュアにIKチェーンを組み込む際には、制作者が必ず注意しなければならない点がある。それが、「回転の優先方向」だ。

試みに、20センチぐらいのまっすぐな細い針金の両端を摘んで、そのまま両手を近付けていくさまを想像してみよう。手に少しの捻りも加えないまま位置だけを近付けて行くとしたら、あなたは針金がどの向きにぐにゃりと曲がるか予言できるだろうか。

IKでも、それと同じ問題が起こるのだ。もし、IKチェーンの各パーツが一直線上に結ばれているとしたら、コンピュータは両端の距離が縮まった時、各関節をどの方向に曲げるべきなのか判断できない。だから、IKチェーンを組み込んでいるパーツは、あらかじめ曲がって欲しい方向に若干回転している必要がある。前もって針金に折り目を付けておくようなものだ。

Poser標準フィギュアやDAZフィギュアが、ロード時に「だらしのない」格好になっているのはこのためである。そのままIKを有効にして手足のパーツをドラッグしても自然に曲がるように、ゼロフィギュア(各パーツの回転値が0)ではなく、曲がって欲しい方向に値を入れてあるのだ。

実際には、JessiやMikiに対してDAZフィギュアの方が明らかにガニ股だったりと、初期状態で入っている回転値はフィギュア毎に異なる。曲げる分にはどれだけ曲がっていても構わないのだが、最低限曲げておかなければいけない値というのは、フィギュア毎に異なるのだ。それは、フィギュアによってボーンの角度(各パーツのcenter)が異なるためである。

極端な例だが、ゼロフィギュア状態で下図の様になるフィギュアがあったとしよう。IKを有効にして腰を落としたら、足はどのように曲がるだろうか。

070908-1

まずもって当たり前だが、コンピュータはIKの計算をする時にパーツの形状など考慮しない(してくれたら有り難いけど)。したがって、腰を落とすとボーンはこのように屈伸する。

070908-2

これを人間の足のように屈伸させるには、少なくとも膝関節が垂直より左側にくるように曲げておかなければならない。

070908-3

これは横方向から見た場合だが、正面方向から見た場合についても同じことが言える。

ロード直後の状態にこのような配慮がされていないフィギュアは、IKをそのまま使用すると、ありえない方向に曲がってしまう。また、Poser標準フィギュアであろうがDAZフィギュアであろうが、ゼロフィギュアにしたり関節を逆方向に曲げてからIKを使用すれば、当然ありえない屈伸をすることになる。

この「あらかじめ回転値を入れておく」ということは、マニュアルにもしっかり記述されているように、製作者がIKチェーンを持つフィギュアを作る際に留意しておかなければならない点だ。しかし残念ながら、流布しているフィギュアの中にはそれを失念してしまっているようなものもある。

その中には単に「知らないからやってなかった」という以外にも、いくつかの意図があるのだろう。ロード時のポーズ(1フレーム目の値)を設定しておく場合は、「復元」がかかった時のことを考えて初期値に同じ値を入れておくことが多い。しかし、初期値に値が入っているということは、そのボーンをそのまま流用して服を作った場合に「着用」で初期値の値が入ってしまうことになる。これを服作りの障害と見なす製作者もいるかもしれない。また、フィギュアがみっともないガニ股でロードされるのを嫌がる製作者もいるかもしれない。

だが、そもそも初期値に0以外の値が入ったボーンを流用すること自体が、服作りとしては減点だろう。初期値に0を入れるのは10秒もあればできる作業である。そこをフィギュア製作者が考慮する必要はないはずだ。Blankフィギュアを用意するという手もある。また、ロード時の見た目がいくらアレだろうと、それ自体がフィギュアの人気になんら影響を与えないことは、びっきさんが既に証明していることだ。

IKを使うならガニ股で。フィギュア製作者もユーザーも忘れないようにしよう。

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