またの名を当たって砕けろ編。ということで実際にやってみよう。
くどいようだが、これは自分なりのやり方(の一つ)であって、決してこれが正解とか
いうわけではない。もっと効果的なやり方もあるだろうし、その辺は各自自分なりのやり方を
見つけていってもらいたい。
最初にポーズとカメラアングルを決める。今回はバストアップの簡単なポートレートにする。
で、まずはライト1つを残して、特性パレットで2つのライトをオフにしてしまおう。
他のライトを消すのは、まあ効果をわかりやすくするためだ。
で、特に狙いが無ければキーライトの色をとりあえず白にする。強度は100%でいいだろう。
そしてプレビューウィンドウを見ながらライトの方向を調整する。
ライトコントロールでも、スポットの回で説明したようなパラメータダイヤルでの調整でもOK。

で、これで良しとライトの方向が決まったら、テストレンダをしてみよう。
レンダ品質はなんでも構わないが、影だけは描画するようにする。
実際に影が落ちると、プレビューウィンドウとは随分印象が変わるだろう。
重要視するのは、この段階で既に「絵としてサマになっているか」どうかである。
見せたいものにちゃんとライトが当たっているか、雰囲気をぶち壊しにする位置に
影が落ちてないか、などを確認して、納得いくまで調整とテストレンダを繰り返す。

これは環境の差があるので一概には言えないが、できるだけテストレンダはした方がいい。
「何を確認したいか」によってこまめに設定を変えれば、それほど時間はかからない(と思う)。
その意味でレンダラはシャドウマップの計算が早く設定に融通が利くFireflyの方がお勧め……
というか自分の環境では正直P4互換レンダよりFireflyのが体感的に早い。
とりあえずライティングテストの時はシェーディングレート2以上サンプリング1、
重要でないフィギュアの非表示などでパフォーマンスを上げる。
手動設定がわからなければ拙宅Tips「レンダリング設定について」を参照されたし(宣伝)。
キーライトが決まったら、次に被写体のエッジが立つようにバックライトを決める。
オフにしたライトの一つをオンにして、これまた理由がなければ色を白にしてしまう。
バックライトを調整するときは、1つ目のライトは点けっぱなしにしたほうがいい。
単独ならハッキリしていても、他のライトを点けると溶け込んでしまうことがあるからだ。
これも実際にテストレンダして、納得いくまで調整する。

最後にフィルライトを決める。2つのライトでのレンダリング結果を見て、
顔の陰側など暗すぎると思われるところに明るさを足すつもりでライトを当てる。
全体的に光が回る角度が決まったら、今度は明るさを調整していこう。
これはキーライトとの兼ね合いで決める。この2つのライトは似た方向からの照射のため、
重なる部分の光が加算されて色飛びしてしまいやすいからだ(たし算とかけ算の回を参照)。
レンダリングしてみて、色飛びしないようにフィルライトの明るさを半分ぐらいにまで落とす。
逆にフィルライトを強めにするなら、キーライトを若干落とす……という具合。
ついでにバックライトの明るさも一応調整する。悪目立ちしない程度ならそれでいい。
だいたいこんな感じで完成。後は好みやこだわりで部分補正のライトなどを当てたりもする。

さて、Poserで作るシーンはポートレートばかりとは限らない。背景がある場合はどうだろう。
その場合も基本的には三点照明で、まず何が光源になっているかを考えればいい。
例えばダークブラウン系の高級家具が置かれた、暗い室内にいるとする。
キーライトは窓の外から入ってくる光、バックライトは室内後方に置かれたランプの明かりとする。
そしてフィルライトで環境光を足す。暗い家具が多いので明るさは強くなく、やや茶系。
モダンな白っぽい部屋にいるのなら、キーライトはそのままに、
バックライトは強めの白、フィルライトも若干強め、思い切って寒色系の色を混ぜてみるとか。

(色味と強さだけを変更した例。右の例は左サイドの髪に奥からスポットライトを当てている)
実際のプロップの配置などにそれほど固執する必要はない。
そのシーンがどういう状況で、どの方向からどんな光が差していたら自然かを想像し、
そしてその光が、それぞれキーライト、バックライト、フィルライトのうち
どの役割に当て嵌められるかを考えるようにするといい。

さて、ライトの影の濃さをどのように扱えばよいか、迷われる方も多いだろう。
そもそも影有りレンダリングは使わない、という方もいるかもしれない。
影有りレンダを使うかどうかについては、これはもう各個人の画風に合わせるべきだと思う。
超リアル路線からそれなりリアル路線、絵画調やトゥーン調の非リアル路線、それぞれにふさわしい
スタイルがあるだろうし、マシンパワー的に影の描画が困難な方もいるかもしれない。
だがもし、あなたが特にハードウェアの制限を受けるわけでなく、また特にこだわりもなく、
もう少しリアルな方向で頑張ってみたいと考えているなら、
迷わず影は使うようにした方がいいと思う。ついでに影の濃度は1.0(100%)が大原則だ。
100%の影が黒過ぎると思うなら、まずフィルライトがうまく当たっているか確認しよう。
現実の影が真っ暗でないのは、周囲からの照り返しなど間接反射光を受けているからだ。
物体が受けた光の何割かを透過しているからでは断じてない。
ということは、影の濃度を下げるより先に、どうにかして光を当てることを考えるべきなのだ。
影の濃度を下げると、影が落ちるべきところまで光が入ってしまう。
とはいうものの、必ず影は100%落とさなければならないとは限らない。
障害物が多くてフィルライトがうまく効かない時は、フィルライトの影を下げて環境光成分が
行き渡るようにしてみる。シャドウマップのサイズを落として影を柔らかくするのも有効だ。
そして他のライトの影の濃度はなるべく下げないようにする。
まあこの辺は、作りたい絵のイメージによって臨機応変に対処してもらえればいいと思う。
ちなみに自分はキーライトの影を下げることはライティング失敗宣言だと思っている。
あくまで主観入った個人的制約に過ぎないけれども。
次は軽くライトのミニTips。
■頂いたコメント■
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